「呂宋は戰場外」の詳細

整理番号 1324
識別番号 101-J-1
見出し 呂宋は戰場外
ふりがな るそんはせんじょうがい
ふりがなの有無 なし
作成組織 F
使用言語 日本語
絵の色

絵柄 あり
紙の色
写真 なし
本文
【ビラ本体画像1】
呂宋は戰場外

日本軍兵士諸君に告ぐ
既に御承知のやいに比島各地に殘された日本軍は山嶽地帶に退避し、諸君も現在の境遇の下に置かれるやうになつて、ルソン島の戰ひも殆んど終らうとしてゐます。
そして一方において米軍は前にもまして旺盛な戰闘精神をもつて日本本土の爆撃を續行しております、台灣各地は連日爆撃の目標となり、東京、名古屋、神戸各都市の重要軍事施設も亦爆撃に暴されてゐます。硫黄島を手中に収めた米軍は更に沖繩島の完全占領を期して敢闘中であり、同島の陷落は時期の問題となりました、戰ひは最早比島地區より日本本土に移行したので、諸君は見棄てられた譯です、若し諸君がこの事に對して疑ひをもつならば左記の事實に徴してお考え下さい。

一、來援を約束された筈の日本軍航空隊は一体何處で何をしてゐるのでせうか、日の丸をつけた荒鷲は未だ一機でも諸君の頭上を飛翔したことがあるでせうか。
一、亦、今春こそは米海軍を撃碎してみせると豪語してゐた日本海軍は今まで何處で何をしてゐたのでせうか、日本の艦隊は過日瀬戸内海において米航空部隊により大爆撃を受けたのです

諸君はこれ以上、迷妄な上官達の戰爭の狂言に惑はされないで、日本の將來のため、戰後の「平和鄕日本の再建」に役立つという大乗的な観點に立つて何とかして生殘る事を考へてみて下さい。
現在諸君に殘された唯一の途であり、同時に最大の義務は國家の將來のために大切な命を全うすることです、愛する祖國日本の將來に想ひをいたし、萬難を排して各人一人でも多く生き延びる努力をする事です皆樣の自愛を祈つて止みません