「ポツダム宣言」の詳細

整理番号 1187
識別番号 152-J-1
見出し ポツダム宣言
ふりがな ぽつだむせんげん
ふりがなの有無
作成組織 F
使用言語 日本語
絵の色 なし
絵柄 なし
紙の色
写真 なし
本文
【ビラ本体画像1】
ポツダム宣言

アメリカ合衆國、大英帝國及び中華民國政府首惱者によつて發表された次の宣言は、合衆國大統領及び英國首相チヤーチル氏によりポツダムに於て調印せられ、中華民國政府主席の同意を見たものである

(1)吾々合衆國大統領、中華民國々民政府主席、及び英國首相は數億の吾が聯合国民を代表しこ
の戰爭を終結するために日本に機會を與へることに賛同し、その一致を見たのである

(2)合衆國、英國、及び中華民國の强大なる陸海空軍は、西方より來りつつある之に數倍する陸軍及び空軍の增援を得て、日本に對して最後の打撃を加へんとしてゐるのである
この軍力は日本がその抵抗を中止するまで日本に對して戰爭を遂行せんとする聯合國の決心によつて指示されてゐるのである

(3)覺醒する世界の自由民族の力に反抗した無益なる、然して無意味な抵抗の結果は日本國民にその恐るべき實例を示してゐるのである、現在日本に向つて集中せられてゐる實力は、抵抗を續けた「ナチス」に加へられた秋に止むを得ずその土地工業及び全ドイツ國民の生活様式を破壊した、それよりも遥かに强力なものである
確乎不動の決意をもつて我が聯合軍の兵力を十二分に發揮すれば、日本の軍隊を否應なしに全滅し又日本本土を完膚なきまでに粉碎するを意味するのである

(4)日本が賢明ならざるもくろみによつて日本帝國を滅亡の瀬戸際までいたらしめた利己的軍閥指導者により支配されることを續けるか、それとも日本が筋道の立つた擧に出でるか
日本はこの二者の何れかを選ぶ時機に到来したのである

(5)次に述べるのは吾々の日本に與へる條件である
吾々は之等の條件より一歩たりとも譲らないのである、日本に對して與へる條件はこれ以外にはないのである、吾々は日本が卽刻答へるにあらざれば一刻の猶豫をも與へないのである

(6)日本國民を欺瞞し誤導して、世界征服の道程に登らしめた指導者等の權力と影響は、永久に芟除されなければならない吾々は世界から無責任な

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る軍國主義が排除されてしまふ迄は平和と安全と正義の新なる制度が實現し得られないと主張する

(7)斯る新なる制度が確立されるまで、又日本の戰爭遂行力が壊滅されたと云ふ確證が示されるまで、聯合國によつて指定された日本の領域内の地點は、吾々が今茲に明示する基本的目的を達成するために占領されなければならない

(8)カイロ宣言の條件は實行されなければならず又日本の主權は本州、北海道、九州、四國、及び吾々が決定せる若干の諸島嶼に限定されなければならない

(9)完全に武装を解除された後、日本軍將兵は各自みづからの家庭に歸還することを許され、平和裡に生活を營み、製産に從事することを許されるのである

(10)吾々は日本國民に向ひ民族的隷属を强ひるものにあらず、日本の國家としての破滅を企圖するものでもない、然しながら聯合軍將兵の内、日本の俘虜となつてゐるものに對して、虐待を加へたものを包含するところの總ての戰爭犯罪者に對しては、嚴格なる裁きが適用されるのである
日本政府は日本國民の總ての民主々義的傾向を强化、再生するうへに凡ゆる障碍物を除去しなければならない、言論の自由、宗教の自由、思想の自由を初め基本的人權の尊重も遵守されるのである

(11)日本はその經濟的生活を保ち且つ公正なる賠償を物品をもつて支拂ふための産業の維持は許されるが、然し戰爭のため再武装を施すが如き體制の確立は許されないのである
蓋し經濟確保と云ふ目的のため、原料品入手の途は切開かれるのであるが之は原料品の支配を意味するものではない
然して日本は究極に於て世界との通商參加を許可されるに至る

(12)聯合國占領軍は斯る目的を達成し、日本國民の自由意志に卽應する平和を目的とする責任ある政府の確立後、可及的速かに日本より撤收するのである

(13)吾々は茲に日本政府が直に全日本軍の無條件降伏を宣言し、然も斯る行動を執るうへに眞摯なる措置を執り、適宜の保證を附與されんことを要求するものである、さもなければ日本の執るべき途は急速にして完全なる破壊の一途あるのみである

以上は合衆國、大英帝國、及び支那の各政府が日本に對して布告した合同最後通牒の要旨であつた