「戰友に告ぐ」の詳細

整理番号 1003
識別番号 J253
見出し 戰友に告ぐ
ふりがな せんゆうにつぐ
ふりがなの有無
作成組織 B
使用言語
絵の色
絵柄
紙の色
写真
本文
【ビラ本体画像1】
戰友に告ぐ

 現在の一般的な戰况を説明しよう
 ヨーロッパの戰線では聯合國軍は北フランスより怒濤の如き勢ひで、ジーグフリード線に突入してゐる。すでに米軍は國境線を一部突破し、ドイツ國内に於て激戰がつゞけられてゐる。英軍はオランダの南部より國境線を突破した。ソ聯軍はすでにハンガリーの首都ブタベストにせまり、歩オーランド及イタリーの戰線と合せて独逸は完全に包圍せられてゐる。ドイツの抵抗も時の問題だ。ヒツトラーは政治の局面からすでに姿をかくしてゐる。
 太平洋方面の戰線の現在一番重大な事件は、米軍の比島ルソン島への上陸だ。帝國聯合艦隊はこの附近の海戰によつて重大な損害を受けた。現在米軍は着々戰果を拡大しつゝあり激戰がつゞけられてゐる。比島を失ふ事は日本の完全な敗戰を意味する。サルミとかホーランジヤに日本軍が新に上陸したといふ噂は、まつたくのうそである。ビルマ戰線は北部の大半を英支軍におさへられ、今やかつてのビルマルートに接する新しい対支補給線が、巨大な道路建設が行はれ、日本軍は何等の妨害もなし得ない。中南支の飛行基地を奪取せんとする日本軍の動向は、B-29(ボーイングの一倍半)による本土及滿洲への空襲をさけるための外比島に上陸した米軍によつて將來南方への海上補給線を切断せられた後の、陸上補給線を確保しようとしてゐるものだ。しかし、東京を十月二十四日、二十七日、三十日、十一月三日と爆撃したB-29はサイパンを基地としたものだ。
 來年一ぱいが山だ。そして聯合國軍の厖大資源と機械力のまへに我國は敗れるだろう。
 その次に來るものは何か!!軍部の専横をおつぱらつた民衆のための國、自由日本の建設だ!!

日本軍一兵士より